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2015年07月31日

button_15.jpg  東京エレクトロンを襲う「スマホ減速」の試練

統合破談後の単独成長に向けて波乱の船出
東出 拓己 :東洋経済 編集局記者 2015年07月31日

「7月10日に発表した中期経営計画を、是が非でも達成したい」。

7月28日に行われた東京エレクトロンの第1四半期決算発表で、開口一番、東(ひがし)哲郎社長は決意を口にしたが、同時に発表されたのは今2016年3月期業績の下方修正で、スマートフォン需要減速の影響を考慮した結果だ。株式市場にはネガティブサプライズとなった。

通期業績見通しは売上高を期初の6750億円(前期比10%増)から6450億円(同5%増)へ、営業利益を1120億円(同27%増)から950億円(同8%増)へ引き下げた。経常利益段階までは修正後も前期からの増収増益を見込むが、増益幅が大きく縮小する見通しだ。また、当期純利益は、税平常化により前期718億円から58億円減の660億円を見込み、一転減益見通しとなった。

株式還元には意欲的

配当については、7月10日に配当性向を従来の35%から50%へ切り上げる方針を発表し、一株あたり中間93円・期末129円の合計222円と期初予想の計155円から増額していたのだが、今回の業績修正を受け、中間配当105円・期末配当83円の合計188円とした。15年3月期の年間配当143円から比べれば増配となる。自己株式の取得も機動的に行うとしている。

第1四半期の決算はなお好調だった。売上高は1557億円で前年同期比3%の微増にとどまったものの、営業利益は同77%増の302億円を計上。営業利益率も15年3月期第1四半期の11%から19%へ向上した。スマートフォンやデータセンター向けのDRAM、NANDフラッシュメモリ需要が好調で、メモリメーカーの設備投資が続いた。また、同業首位の米アプライドマテリアルズとの経営統合が破談となったことで統合関連費用が消滅したことが、営業利益を押し上げた。

それにもかかわらず通期見通しの下方修正に踏み切った背景には、大手半導体メーカーの失速がある。半導体製造装置業界は、世界の半導体設備投資の6割以上を占める米インテル、韓国サムスン電子、台湾TSMCという”ビッグスリー”の動向に大きく左右される。

パソコン需要の低迷に苦しむインテルは、当初、15年12月期通年での設備投資額を95億〜105億ドルと予測していた。しかし、4月にはその見通しを82億ドル〜92億ドル、さらに7月16日の第2四半期決算では72億〜82億ドルへと切り下げた。

TSMCも、15年当初は115億〜120億ドルの設備投資を予定していたが、第1四半期終了後に105億〜110億ドルへと予定を切り下げた。第2四半期決算に際しては、「スマートフォン需要が想定より鈍化した」(マーク・リュウ共同CEO)として、15年の半導体市場の成長率を当初見通しの5%から3%へ修正している。

このような環境の変化を受けて、東京エレクトロンも下方修正を余儀なくされた形だ。しかし、攻めの姿勢はいまだ崩さない。「売り上げ予測はある程度保守的に見ているが、われわれとしてはシェアを上げる好機とみている。そのための仕込みを色々としているところだ」(東社長)。

シェア向上へ技術開発も市場動向次第

実際、洗浄装置とエッチング装置では、13年時点で19%だったシェアを14年時点でそれぞれ25%、26%へと向上させている。技術開発を進めることで、19年時点ではここからさらに、それぞれ10%のシェア向上を掲げている。

また、来期については、次世代技術である3DNANDや10ナノメートル級の量産が本格化することに伴う買い替え需要を想定し、「ポジティブに考えている」(河合利樹COO)。エッチング装置では一部顧客での装置採用認定をすでに獲得しており、3DNANDについても「特定の顧客に関するコメントは避けるが、顧客と会話する範囲では期待できる」(河合COO)としている。

東京エレクトロンは、米国アプライドマテリアルズとの経営統合破談を受け、アプライドなしでも単独での成長が可能であることを強調してきた。7月10日に発表した新中期経営計画では、市場規模(半導体前工程製造装置)が現状(335億ドル)から縮小した場合(300億ドル)と拡大した場合(370億ドル)の2つのパターンが想定されているが、いずれの場合においても増収増益を達成することを目標にしている。

300億ドルに縮小した場合には、売上高7200億円、営業利益率20%、ROE15%を目指す。一方、市場規模が370億ドルに拡大した場合には、売上高9000億円、営業利益率25%、ROE20%が目標となる。アナリストからは、「300億ドルよりも市場規模が縮小する可能性はないのか」、「計画そのものを見直すべきではないか」といった、厳しい質問が相次いだ。中長期での単独成長の成否は予断を許さない状況だ。
2015年07月24日

button_15.jpg  加熱むら抑えるオーブンレンジ=日立アプライアンス

時事通信 2015/7/23

 日立アプライアンス(東京)は、温めや解凍時の加熱むらが少ない過熱水蒸気オーブンレンジ「ヘルシーシェフ(MRO−RY3000)」を発売。食品の重さに加えて温度もはかり、加熱むらを抑えるダブルスキャンシステムを採用。LED灯や大きな窓を使い、見やすく明るい庫内にしたという。想定価格は16万2000円前後。(了)

button_15.jpg  パナソニック、約2年間のお手入れを不要にしたサイクロン掃除機「プチサイクロン」シリーズ

Impress Watch 7月22日(水)

 パナソニックは、吸引力と軽量化にこだわったサイクロン掃除機「MC-SR530G」と「MC-SR33G」を8月25日から発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は順に6万円前後、5万円前後(いずれも税抜)。

 遠心力でゴミと空気を分離するサイクロン式の掃除機。新たに二次分離の8気筒の遠心分離ユニットをダストボックス内に搭載。一次と二次、2つの遠心分離で、ゴミと空気をしっかりと分離する、フィルターレス式を採用した。

 一次分離の部品に、斜め穴加工を施した「ステンレスガード」を使うことで、約99%という高い分離率で、吸い込んだゴミを集じん部に送れるという。さらに二次分離の部品には、ゴミ通過時の静電気によるゴミの付着を抑えるため、帯電防止効果の高い「メタルコーティング」を施したという。

 この2つの金属部品を使った「ダブルメタル」機構を採用したことで、ダストボックス内の目詰りや汚れを抑えることが可能に。吸引力を持続できるほか、従来品では約2カ月ごとに必要だったお手入れを、約2年間も不要にできるという。

 なお、低い角度から照射範囲を明るく照らし、ゴミの影を作り出して見えやすくする「LEDナビライト」の照度を約20%アップ。約20μmのゴミまで検知する、「ハウスダスト発見センサー」も引き続き搭載され、ユーザーのお掃除を強力にサポートする。

 本体サイズは238×327×290mm(幅×奥行き×高さ)で、本体重量は2.6kg。吸込仕事率は200〜約60W。「MC-SR530G」は0.3μm以上を約99.9%のゴミをキャッチでき、「MC-SR33G」は0.5μm以上を約99.9%キャッチできる。


【家電 Watch,河原塚 英信】
2015年07月21日

button_15.jpg  [新製品]日立、冷蔵庫に世界初の技術、プラチナ触媒で野菜と真空チルドの鮮度アップ

BCN 7月21日(火)

 0.8気圧のチルドルームで保存した食材の酸化を抑制する「真空チルド」で冷蔵庫市場をリードしてきた日立アプライアンスが、野菜や肉、魚などの鮮度を向上する技術「プラチナ触媒」を世界で初めて家庭用冷蔵庫に搭載する。

 「プラチナ触媒」は北海道大学が開発。日立が8月13日から発売される業界最大の定格内容積730リットルとなる「真空チルド」R-X7300Fなど12機種に搭載する。X7300Fはオープン価格だが、税別実売は46万円前後を想定している。

●北海道大学と共同開発で冷蔵庫に搭載

 プラチナ触媒の技術そのものは、自動車のマフラーや工場の煙突などで広く使われている。高温の熱エネルギーによって触媒作用が発揮される。

 ただ、冷蔵庫のような低温の状況ではプラチナ触媒の効果は発揮されなかった。今回のプラチナ触媒は、低温でも野菜などから発生するエチレンガスやニオイ成分を、炭酸ガスと水に分解できる。北海道大学が開発した世界初の技術で、日立との共同研究によって冷蔵庫に搭載されることとなった。

 X7300Fでは、このプラチナ触媒を冷蔵庫の一番下の「新鮮スリープ野菜室」と上段の庫内にある「真空チルドルーム」に搭載した。

 北海道大学が開発したプラチナ触媒を冷蔵庫に応用しようと考えたのは、日立アプライアンスの空調事業部栃木空調本部開発センタの船山敦子主任技師だ。「北海道大学からリリースが発表されたのを見てすぐに(北大の)触媒化学研究センターの福岡淳教授に連絡したら、私どもが一番最初にコンタクトしたということで優先的に共同開発をすることになった」と、経緯を語った。

●高濃度の炭酸ガスが野菜の鮮度を保つ

 従来の冷蔵庫では光触媒が使われていた。日立の場合は、野菜室に設置した白色LEDを光触媒に照射して、野菜から出るエチレンガスを炭酸ガスと水に分解していた。野菜そのものの呼吸からも生じる炭酸ガスは、濃度が濃くなるほど野菜の呼吸活動を抑える効果がある。それだけ野菜の鮮度が保たれる。

 新しく採用したプラチナ触媒は、エチレンガスやニオイ成分が触れるだけで、光触媒よりも約2.1倍の炭酸ガスを生成するという。日立では、野菜の呼吸活動の抑制が、野菜が眠っているようであることから「スリープ保存」とネーミングしている。

 発表会では、実際に光触媒とプラチナ触媒で分解されて生じる炭酸ガスの濃度の違いが分かるデモを実施した。光触媒の炭酸ガス濃度が3785ppmであったのに対して、プラチナ触媒の炭酸ガス濃度は約2倍の8138ppmになった。また、プラチナ触媒で7日間スリープ保存した小松菜と、スリープ保存しなかった小松菜でも、その鮮度の違いは明らかだった。

 プラチナ触媒は、同社の冷蔵庫を象徴する機能である「真空チルドルーム」にも搭載。肉や魚から出るニオイ成分を、炭酸ガスと水に分解する。チルドルーム内の炭酸ガスの濃度が高まることで、肉や魚の表面の傷みの原因となる酵素の働きを抑制する。

 デモによるロールケーキの比較では、冷蔵室に保存してだけのロールケーキは水分も抜けて乾燥しているようだったが、プラチナ触媒のスリープ保存で真空チルド保存したロールケーキは、指で押しても弾力があり、水分が残っていることが確認できている。

 低温の環境でも分解作用が働くプラチナ触媒の技術を搭載した日立の「真空チルド」シリーズは、冷蔵庫にさらなる新風を吹き込みそうだ。なお、税別実売46万円前後のXシリーズのR-X7300Fをはじめ、普及タイプの同26万円前後のR-S4200Fまで12機種をラインアップする。
2015年07月17日

button_15.jpg  業界最大の容量730リットル! 省エネ+鮮度維持の「プラチナ触媒」を採用する日立製冷蔵庫12機種が登場

ITmedia LifeStyle 7月16日(木)

 「業界最大の容量730リットルを実現した」――日立アプライアンスは7月16日、「真空チルド」シリーズ冷蔵庫の新モデル12機種を発表した。最上位モデルの「R-X7300F」は、定格内容積が730リットルと大容量なのが特徴で、今回すべてのモデルで、省エネながらも野菜や肉・魚などの鮮度を保つ「プラチナ触媒」を採用する。新モデルのコンセプトは「高鮮度保存+大容量」で、同コンセプトに注力した機能のアップデートを図った。

 ラインアップは、上位シリーズ「Xシリーズ」が「R-X7300F」など5機種、中位シリーズ「Gシリーズ」が「R-G6200F」など4機種、下位シリーズ「Sシリーズ」が「R-S5000F」など3機種で、計12機種となる。価格はオープンで、実売想定価格は26万円〜46万円(税別)。8月13日より順次発売する。ボタンを押すだけでドアが開く電動引き出しや野菜室のLED庫内灯の搭載などは、Xシリーズのみ。

●冷蔵庫に求められるのは「高鮮度保存+大容量」

 同社の独自調査によると、冷蔵庫を購入するユーザーは、食材の鮮度維持や庫内容量の大容量化などを求める傾向にあり、新モデルではこの2点に着目して同社の独自機能をさらに進化させた。

 今回、鮮度保存技術をアップデートするにあたり、北海道大学が開発した「プラチナ触媒」を真空チルドルームと野菜室に採用し、従来機の光触媒よりも野菜や果物が鮮度を損う原因となるエチレンガスやニオイ成分に反応する表面積が約30倍にアップ。炭酸ガスをより多く生成できるようになった。炭酸ガスの濃度が上がると、野菜の呼吸が抑制されて、鮮度が落ちにくくなる。

 日立の担当者は、「プラチナ触媒はバイクや車のマフラー部、工場の煙突などに使われていた技術で、家庭用冷蔵庫に採用されるのは今回が世界初の試みだ」と説明する。

 光触媒は庫内灯を利用したもので熱を必要としていたが、プラチナ触媒は低温でも可能なので省エネにもつながる。また、炭酸ガスの生成量増加とドアの密閉度向上も合わせ、野菜室のうち、炭酸ガスを供給できるスペースが従来シリーズ比で約2.3倍に拡大した。

炭酸ガスの生成量増加と合わせて、野菜の鮮度を維持するスペースは、従来シリーズ比で約2.3倍にアップした。なお、明るさを確保するためにXシリーズは野菜室にLED庫内灯を備える。

 真空チルドルームも幅610ミリ、容量28リットルと大容量化を実現。最上位モデルは製氷室にアイスクリームなど小物を収納するスペースを設けた。

 省エネ面では、新たに「マルチバルブ制御」を採用。省エネ用管とハイパワー用管の2つを1つのバルブで効率よく制御することで、ガスから出た余った熱などを冷凍室の結露防止などに活用する。

 使い勝手も考慮しており、ドアの操作部をタッチすると自動でドアが開閉したり、野菜室がより広く開いたりと、少ない負荷で食材の出し入れができるようになった。
2015年07月07日

button_15.jpg  新たなソニーへ。電子ペーパーリモコンなど新規事業紹介

Impress Watch 7月6日(月)

 ソニーは6日、若手の開発者を中心に新規事業の創出をめざす「Seed Acceleration Program(SAP)」などについての説明会を開催。同プログラムから誕生したスマートDIYキット「MESH」(5,980円〜)や、柄が変わる電子ペーパー時計「FES Watch」(29,800円)、電子ペーパーを用いた学習リモコン「HUIS REMOTE CONTOLLOER」などの商品を披露するとともに、同社の新事業創出の今後について解説した。

 ソニーの新規事業創出部は、2014年4月に平井一夫社長直轄のプロジェクトとして始動。それ以前も社内の有志が手弁当で進めてきたプロジェクトや新規事業はあったが、そうした動きを後押しし、若手の開発者などを中心に、新たな事業創出やオープンイノベーションの加速、若手の事業経験の研鑽などを目的に、社内のプログラムとして整備されたものがSAPだ。

 さらに、7月1日にはクラウドファンディングとEコマース機能を備えたサイト「First Flight」(ファーストフライト)を立ち上げ。事業化初期段階のプロジェクトに対し、リアルな市場ニーズの検証や、消費者とのダイレクトな対話を通じた開発・商品改善、タイムリーで規模に最適化された販売などの機会を提供する。

 電子ペーパーを用いた学習リモコン「HUIS REMOTE CONTOLLOER」は、このFirst Flightの第1弾商品として1,000万円を超える出資を集め、製品化へ進んでいる。

 ソニー新規事業創出部の小田島伸至担当部長は、新規事業創出部の約1年間の活動の振り返りや、今後の活動について紹介した。

 ソニーの新規事業拡大については、「個人の事業化能力」、「共創力(巻き込む力)」、「ベンチャースピリッツ」という、開発/企画者の個人の属性とともに、チャレンジを促すカルチャーとインフラや、スピード、新しい事業領域の受け皿などが必要と判断。そのために、社長直轄のプロジェクトと位置づけ、2回のオーディションを通過することで、フルタイムの新規事業に取り組めるSAPにまとめあげたという。

 また、ソニー本社1階にCreative Loungeを開設。開発機材などを揃えるとともに、スタッフや外部のパートナーが作業との連携に役立てている。また、7月7日〜10日までの18時〜20時までMESH、FES Watch、HUIS REMOTE CONTROLLERのタッチ&トライイベントを実施。プロジェクトメンバーと会話しながら、それぞれの製品を試すことができるという。

 製品開発とともに重視している点が、開発担当者に、最初から最後まで「End to Endの事業経験を積ませる」ということ。SAPで、オーディションを通過したプロジェクトについては、企画担当者が統括課長というポジションで、製品全体をリードしていく形となる。

 すでに一般販売がスタートしている、「MESH」や電子ペーパー腕時計「FES Watch」、クラウドファンディングがスタートしたリモコン「HUIS」の企画者もそれぞれ統括課長というポジションになる。

 今後の新規事業の展開について、小田島部長は「まずはユーザーに刺さる(受け入れられる)ものを作るのが最優先。経営層に相談し、拡販できるものができれば、そういう体制を取る。また、製品が誰にも刺さらなければ、(プロジェクト)を畳むか、あるいは小規模でも支持されれば届け続けるかどうかを、判断していく。案件数にはこだわらず、いい案件があればピックアップする」とした。

 ソニー単体ではなく、外部のパートナーと協力する場合もあり、投資会社のWiLと組んだ小型スマートロック製品「Qrio Smart Lock」などがその一例で、「一番重視しているのがスピード」と語った。また、事業化のポイントについては、「一番は『人』、個人の事業化能力。2番目は、案件のユニークネス。ビジネスモデルを描けているか」とした。

■ 「ファッションのデジタル化」など新たな事業領域を狙う

 FES Watchのリーダーを努める村上雄紀氏は、「ファッションエンタテインメント」として「FES Watch」を紹介。ファッションでは、洋服の組み合わせなど、無限に近いデザインからお気に入りを選ぶことができるが、FES Watchの狙いは「ファッションのデジタル化」なのだという。FES WatchはFirst Flight上で予約販売を行なっており、価格は29,800円。

「電子ペーパーを紙ではなく、布地として捉えてファッションアイテムとして使う。その実現に向けての第1歩がFES Watch。時計全体の柄が、文字盤だけでなく、ベルトまで変わる。24種類のバリエーションがあり、24個の時計を持っているかのように使える。会社ではフォーマル、仕事終わったらカジュアルにとか。デジタルといっても、スマホ連携機能は入れていない。テクノロジを『身につける喜び』を高めるために使いたい」と語った。

 スマートDIYキット「MESH」(5,980円〜)のリーダー萩原丈博氏は、「誰もが発明家になれるキット」とMESH紹介。LEDや加速度センサーなど、単一の目的をもったBluetoothモジュールが複数あり、それらを連携させることで一つの目的が達成する「回路」を作るキットだ。

 リモコンを反転すると、電灯が点滅したり、モジュールを回転させると、ライトをつけながらスピーカーを鳴らしたりといった電子機器の連携操作を実現する電子回路をモジュールとタブレット内のアプリで、実現するもの。「夏休みの自由研究や学園祭のお化け屋敷とかでも使って欲しい」とした。

 電子ペーパー学習リモコン「HUIS」を担当する八木隆典氏は、「自分の必要なボタンだけまとめられるリモコン」としてHUISを開発。家の中には多くのリモコンが存在するが、その必要な機能を集約して、シンプルなリモコンを実現。スマートフォンではなく、あえて専用のデバイスを用意することで、「すぐ使える」を目指しているとした。HUISについての詳細は西田宗千佳氏のインタビューで紹介している。


【AV Watch,臼田勤哉】
2015年07月06日

button_15.jpg  最新のロボット掃除機は何が違う? 「ルンバ800シリーズ」の基礎知識

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ITmedia LifeStyle 6月29日(月)

 4Kテレビ、ハイレゾ音源、ロボット掃除機――最近の家電やガジェットはテクノロジーの進化が目覚ましく、どれも多機能・高機能化してどれを買えばいいのか分からないという人も多いのではないでしょうか。また、聞き慣れない言葉が増えてきて、家電量販店で店員に説明してもらうものの、じっくり聞いてもいまいち違いを理解できないということもあるでしょう。また、店員さんに遠慮して疑問をぶつけられない人もいるはず。

 しかし、あなたのライフスタイルに合わせた家電やガジェットを知ることで、より便利で快適な生活が送れるのも確か。本連載は今後さまざまな最新家電やガジェット、それにまつわるコンテンツやサービスなどを取り上げ、分かりやすく説明していくことを目的としています。

 主人公は、とあるWebメディアの若手記者「しろこちゃん」。電化製品の仕組みや機能にはあまり興味がない普通の女子です。でも流行の物は気になるので、いつも家電好きの先輩社員たちにアドバイスを求めます。今回はロボット掃除機「ルンバ」に目をつけたようですが、果たしてワンルーム1人暮らしのしろこちゃんにルンバは必要なのでしょうか。



しろこちゃん: 今、「ルンバ」みたいなロボット掃除機が気になっているんですけど、1人暮らしの私でも必要だと思います? 毎日、夜遅くまで仕事をしていると週末くらいしか掃除する時間がないんです。

家電兄さん: うーん、必要かどうかはともかく、1人暮らしでも便利なのは確かだよ。ロボット掃除機は“時短家電”の代表みたいなもので、掃除の手間と時間を省いてくれる。毎日、仕事をしている間にロボットが部屋をきれいにしてくれたら楽だし、週末も有効に使えるかもしれない。

黒物(くろもの)さん: でも、床の障害物には弱いんでしょ。“ロボット掃除機を動かすために部屋を片付ける”なんて話も聞くけど、それって本末転倒じゃないの?

家電兄さん: そういう意見もありますが、どちらかというと愛用している人達の“ネタ”みたいなもので、床掃除するときに床の上のものを動かすのは当たり前じゃないですか。むしろロボット掃除機を日常的に使うことで、服を脱いだら必ずハンガーにかけるとか、カバンは棚の上に置くとか、床に余計なものを置かないように習慣づけることができたらいいですよね。いつお客さんが来てもいい部屋になります。

黒物さん: 楽をしようとしてる割に意識高いわね。

家電兄さん: 積極的に楽をして時間を有効に使う主義なんです。小さな子どものいる御家庭では床の片付けが難しいかもしれませんが、私の知り合いには、子どもに「ルンバがつまづいたらかわいそうでしょ?」と言って片付けを習慣づけることに成功した事例もあります。

しろこちゃん: 意識は高いけど掃除が大嫌いな私は、やっぱり「ルンバ」を買おうと思います! ルンバもいくつかありますけど、どれがオススメですか?

家電兄さん: それは間違いなく800シリーズだね。ロボット掃除機にはたいてい吸い込み口にブラシがあるんだけど、例えば長い髪の毛が絡まると、ハサミで切らなきゃ取り除けない場合もある。でも800シリーズはブラシがないから絡みにくい。その代わり、柔らかいゴム素材のローラーが2つあってゴミを取り込むんだ。ちょっと価格は高いけど、それだけの価値はあると思うよ。

しろこちゃん: あの〜、ルンバ800でググったら、いくつかモデルがあるみたいなんですが……。

家電兄さん: 新しいのは「ルンバ875」と「ルンバ885」だよ。違いは付属品と本体色だけ。「バーチャルウォール」っていう、ルンバに入って欲しくない場所を区切るためのアイテムが付属しているんだけど、「ルンバ875」は普通のバーチャルウォール、上位モデルの「ルンバ885」には部屋をくぎって順次掃除させることができる「お部屋ナビ」が付属している。お部屋ナビはバーチャルウォールとしても使えるけど、まあ一人暮らしのワンルームなら「ルンバ875」だよね。

しろこちゃん: 真っ黒(のルンバ885)がカワイイですねぇ。高級っぽいし(←聞いてない)。

黒物さん: なんかバッテリーがリチウムイオンに変わって長持ちするようになったって? むしろ今までそうじゃなかったのが意外ね。

家電兄さん: PCやスマホでは前からリチウムイオンバッテリーが当たり前に使われていますが、ロボット掃除機やコードレス掃除機でも昨年あたりから採用するケースが増えてきましたね。やはり頻繁に使うものですから、充放電回数は多い方がいい。実際、ロボット掃除機を使っていて最初にへたるのはたいていバッテリーです。ルンバの場合、今までは3年ほどでバッテリーを交換することが推奨されていたんですが、今回の製品から倍の6年間になりました。これは地味ですけど大きな進歩ですよ。

●ルンバ起動

家電兄さん: で、結局ボーナスが出た途端、「ルンバ885」を買ったと。やっぱり人の話を聞いてなかったな。

しろこちゃん: まあまあ、女性には機能や値段より“色”が重要な場面もけっこうあるんですよ。さて、さっそく動かしてみましょ。真ん中のボタンを押せばいいんですよね。

黒物さん: ポチっとな。

しろこちゃん: あああ、先に押すなんてひどい。しかもセリフからそこはかとない昭和臭が……。

黒物さん: ほーほっほ。このルンバはもう私の言うことしかきかないわよ。

家電兄さん: そんな無駄な機能はありません。

しろこちゃん: でも、ちゃんと動いてる。すごい、わが家に未来がキター!

家電兄さん: 初めて動かしたときとか、充電しに戻るとことを見たときとか、「おお、ロボットだ」って実感するよね。

しろこちゃん: でも、なんか適当に動いている感じじゃないですか? あっちいったり、こっちに来たり。一度壁にぶつかるとあきらめちゃうし。

家電兄さん: まあ、そう見えるかもね。でもルンバの場合はそれでいい。掃除をしながら部屋の形や広さ、家具の配置なんかを理解して、最終的にはくまなく掃除するアルゴリズムになってるんだ。1カ所あたりで見ると、掃除終了までに平均4回通るらしいよ。しかもさまざまな方向から掃除するから取り残しが少ない。正直、いい加減な人が掃除するより、ずっときれいになる。

黒物さん: なぜこっちを見る?

家電兄さん: いえ、別に。で、掃除が終わると自分でホームベースに戻って充電する。タイマーセットしておくと、毎日自動的に掃除してくれるから、仕事している時間に設定しておくといいよ。

しろこちゃん: へー、あたまいい。でも……壁やものにぶつかりすぎじゃないですか?

家電兄さん: よく見て。ぶつかる前に速度を落として、ぶつかるというよりバンパーを押し当ててる感じだろう? 実はセンサーで障害物があることは検知していて、傷が付かない程度の力で触れて確認しているんだ。バンパーの方も非接触スイッチになっているから壊れにくい。

しろこちゃん: 確かに。でも、よく考えたら昨日、家電店で見たロボット掃除機は横のブラシが2本ありましたし、もっと長いのもありましたよ。ルンバは1本なんですね。

家電兄さん: ブラシを増やすのも良しあしなんだ。サイドブラシは単純に回転しているだけだから、吸引口へ向かうときを除けば、ゴミを散らしてしまうことにもなる。2本にしたり、ブラシを長くしたりするとゴミを集める範囲は広がるけど、ゴミを散らす範囲も増えてしまう。それに長くすると耐久性も落ちるだろうね。

しろこちゃん: なるほど。まあ、とにかく私はこれで掃除から解放されたわけです!

黒物さん: 分かっているとは思うけど、ルンバが入れない場所は結構あるし、机や棚の上なんかは当然、掃除してくれないわよ。

しろこちゃん: ルンバの中から手がニュッと出てきて棚の上をゴシゴシと……。

家電兄さん: そんな怖い機能はありません。まあ、ロボットアームは研究されているみたいだけど家庭用ロボットでは当分採算が合わないよね。だから今のところは床面の、ルンバが入れる場所限定。高さでいえば10センチ以下の場所は掃除できない。ルンバを買ったからといって今までの掃除機が全く必要なくなるかといえば、そうではない。

しろこちゃん: ……。

黒物さん: 捨てたか、掃除機。

しろこちゃん: だってホース破れてたし、大きくてジャマだったし。

家電兄さん: まあ、キャニスター式は大きいからね。ロボット掃除機を買ったなら、ハンディータイプの掃除機を併用すると省スペースで便利だよ。

しろこちゃん: そうそう、最初からそうするつもりだったんです。さて、そろそろ時間もなくなってきました。次回は何をするんですか?

黒物さん: 次回は耐衝撃実験よ。ゾウが踏んでも壊れない? 百人乗っても大丈夫? さあ、買ったばかりのルンバのあしたはどっちだ。

しろこちゃん: いやいや、元ネタ古すぎるし、完全に壊すつもりだし。次回はもっと使い方を詳しく教えてくれるんですよね。わー楽しみ(棒)。

家電兄さん: ……元ネタ、分かるんだ。

[ITmedia]
2015年07月04日

button_15.jpg  東芝、不適切会計1千億円超か 半導体・PC事業でも

朝日新聞デジタル 7月4日(土)2時13分配信

 東芝が過去の決算で不適切な会計処理をしていた問題で、2010年3月期から14年3月期にかけての営業利益の水増し額が、1千億円以上になる見通しであることが3日、わかった。これまで明らかになっていた約550億円からほぼ倍増する。田中久雄社長ら経営陣の責任がさらに問われそうだ。

 関係者の話でわかった。東芝の不適切会計について調べている外部専門家でつくる第三者委員会も、これらの事実を把握しているとみられる。第三者委は7月中旬に、問題の詳細や原因、再発防止策を発表する方針だ。

 東芝はこれまで、インフラ関連の高速道路の自動料金収受システム(ETC)とスマートメーターなどで500億円超の不適切会計があったことを認めていた。このほかグループ会社などで計30億円程度の不適切な処理が見つかっている。
2015年07月01日

button_15.jpg  素人発想からスタートしたロボット掃除機「ルーロ」が受け入れられたワケ

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Impress Watch 7月1日(水)

 パナソニックが、3月20日に三角形状のロボット掃除機「ルーロ(MC-RS1)」を発売し、約3カ月が経過した。発売直後から販売は好調で、当初の月産5,000台の計画に対して、2.5倍の生産台数へと上方修正。この間、先行メーカーを退けて、数度に渡り週間トップシェアを獲得。他社製品にはないユニークな形状もあいまって、この市場における「台風の目」ともいえる存在になっている。

 家庭用ロボット掃除機では最後発といわれるパナソニックだが、実はロボット掃除機の開発では約30年の歴史を持っており、長年のノウハウ蓄積が、この製品に生かされている点も見逃せない。ルーロの開発および製造拠点である滋賀県東近江市の八日市工場を訪れ、ルーロ誕生までの道のりを追った。

■ 三角形のデザインは素人の発想?

 JR琵琶湖線の近江八幡駅で、2両編成の近江鉄道に乗り換え、八日市駅で下車。さらに車で15分ほど走ると、パナソニック アプライアンス社ランドリー・クリーナー事業部の八日市工場がある。ここが、パナソニックの掃除機の開発・製造拠点だ。ルーロも、ここで生まれている。

 ルーロは、「ルーローの三角形」を応用。部屋の隅まで入り込んでしっかり掃除し、狭い場所でもスムーズに方向転換ができるデザインとなっているのが特徴だ。

 先行各社が、円形や四角形などのデザインを採用するなか、パナソニックが採用したのが三角形。とくに、正三角形の各辺を膨らませた定幅図形であるルーローの三角形は、回転した時に、円のように径が変わらないという特徴を持つ。

 正方形のなかで内接しながら、回転することができる形状であり、このルーローの三角形をした断面ドリルを使用すると、ほぼ正方形の形で穴を開けることができる。見るからに、部屋の隅にまで入り込んで掃除ができそうなデザインであることはもちろん、構造的にも理にかなった形状であり、これをロボット掃除機に採用することは当然ともいえるだろう。

 だが、「三角形のデザインが、ロボット掃除機には最適」という発想は、どうも、素人の発想のようだ。ロボット掃除機に長年取り組んできた開発者にとってみれば、三角形は常識はずれの発想でしかなかったというのである。だからこそ、先行各社がロボット掃除機にこの形状を採用しなかった。

 というのも、隅に入り込むには最適な形状だが、そこから方向転換する際、そのまま回転するとどうしても本体が壁に当たってしまうからだ。円形であればそうした問題は起こらない。三角形で本体が壁に当たらないようにするためには、少し後ろに下がって回転しなくてはならない。

 そのためには、隅を確実に認識するためのセンサーが必要であり、これを制御するためのアルゴリズムも必要となる。それがないと、ロボット掃除機が隅に立ち止まってしまうということにもなりかねない。実用化には、それに最適化したアルゴリズムの開発と、センサーの搭載が不可避で、困難を極めることは容易に想像できた。

 だが、パナソニックは、隅を掃除するのに最適な三角形の形にこだわった。

 「高いハードルがあることはわかっていたが、パナソニックが持っている技術を活用すれば、それを超えられるのではないかという直感もあった」(パナソニック アプライアンス社ランドリー・クリーナー事業部 クリーナー技術グループクリーナー開発チーム・吉川 達夫主幹技師)ということも、三角形への挑戦を後押しすることになったといえる。

 そして、「掃除機の開発経験はあっても、これまでロボット掃除機を開発したことがなかった、素人の発想だからこそ、取り組めたもの」と、吉川主幹技師は笑う。

■ 30年の歴史を持つ技術蓄積に大胆な発想を組み合わせる

 実はパナソニックは、家庭用ロボット掃除機の投入では最後発となるが、ロボット掃除機の研究、開発の歴史という点でみると、すでに約30年の歴史を持つ。

 1985年からロボット掃除機の開発に着手した同社は、1986年には、八角形形状でサイドブラシを搭載したロボット掃除機のパテントを取得。研究所で開発してきたこれらの技術をもとに、1993年には、羽田空港ターミナル向けの業務用ロボット掃除機を実用化し、5台の製品を納入。このロボット掃除機は、長年に渡って利用されてきた。

 さらに、2002年にはパナソニックが主催した流通向け展示会で、ロボット掃除機の技術展示を行った経緯もある。これは、世界で初めて、安全系センサーおよび集塵系センサーを搭載した家庭向けロボット掃除機であった。このように歴史を振り返れば、ロボット掃除機の分野では、むしろパナソニックが先行していたともいえよう。

 だが、同社では、家庭用掃除機として、床面全体をしっかりと掃除できる走行性や集塵性能が確保できないことから製品化を断念していた。当時は、電池のパワー確保、モーターの性能などの観点で、満足のいくものができなかったからだ。

 さらに、パナソニックは、2007年にも、もう一度、家庭用ロボット掃除機の試作品を完成させている。ここではより小型化し、センサーを効率的に搭載する技術も確立されていたが、やはりまだ家庭内で利用するには、納得のいく製品に仕上げることができなかった。コスト的にも高価なものとなり、ここでも商品化を断念せざるを得なかった。

 ロボット掃除機の研究、開発には長い歴史を持ちながら、過去2回に渡って、商品化にたどり着けず、プロジェクトチームを解散してきたパナソニックが、3度目に挑戦したのが今回のルーロであったのだ。

 ルーロの開発プロジェクトがスタートしたのは、2013年10月。このチームには、これまでロボット掃除機の開発に携わった社員は一人もいなかった。そこに吉川主幹技師が「素人」と表現する理由がある。

 「プロジェクトを開始した時点では、もしかしたら、今度も駄目かもしれないという思いがよぎったこともあった」と吉川主幹技師は当時を振り返るが、その一方で、「商品化に向けて、いくつものプラス要素が揃いはじめていたことが追い風となった」と語る。技術そのものや、技術を取り巻く環境の変化が、プロジェクトの進行とともに、商品化に向けた強い自信へとつながったようだ。

 では、どんな技術が揃いつつあったのか。

 ひとつは、約30年間に渡って、研究所が取り組んできた走行アルゴリズムの進化だ。少ないセンサーで、賢く走行することができる技術が同社内に蓄積されていたのだ。

 2つめはゴミ取り性能の進化だ。主流となるキャニスター型掃除機では、2000年前半までは吸込仕事率競争が中心となっていたが、その後、吸い込み口の改善や回転ブラシの改良などによって、吸込仕事率が低くてもゴミを吸引するという流れができてきていた。

 そして、3つめは、ハイブリッドサイクロン掃除機の登場に代表されるように、リチウムイオンバッテリーを搭載した掃除機が登場してきたことである。これと同時に、低電圧、低電力で掃除する技術が進展。「掃除機を取り巻く技術が、自律型で動作するロボット掃除機には最適なものになってきた」(吉川主幹技師)というわけだ。

 こうした技術進化によって、ロボット掃除機においても、掃除性能として満足してもらえる製品づくりができる環境が整ってきたのだ。

■ 津賀社長のアドバイスから掃除性能に特化した製品に作り直す

 だが、プロジェクトチームには最後発ということでの「焦り」があったのも事実だ。その焦りは、商品企画にも表れていた。

 「最初は競合他社に搭載されている機能は、すべて盛り込もうと考えた」と吉川主幹技師は振り返る。

 カメラによる撮影機能、撮影した画像を転送するWi-Fi機能、音声合成機能による対話機能などがそれだ。高さは100mmとなり、ロボット掃除機のサイズは他社よりも大きなのものになっていた。

 2014年4月、パナソニックの津賀一宏社長の前で、プロジェクトチームは、ロボット掃除機のプレゼンテーションを行なった。試作品を見た津賀社長は、その高機能ぶりを評価しながらも、「事業部の強みをもっと生かした仕様にしてはどうか」とアドバイスした。つまり、掃除機の基本機能であるゴミを吸い取る機能を前面に打ち出した製品づくりをしてはどうかという提案であったのだ。

 実際、同社の調査によると、ロボット掃除機における不満は、「狭い場所を掃除できない」、「部屋や廊下の隅のゴミやホコリが取れない」といった声が多く、さらに、ロボット掃除機の購入を躊躇する理由としては、「掃除性能に不安がある」、「しっかり掃除ができなさそう」といった声が多いことがわかっていた。

 隅の掃除をはじめとした不満が高いこと、掃除性能の不満や不安に対して、この課題を解決することが、家庭用ロボット掃除機では最後発となるパナソニックならではの特徴になると考えたわけだ。

 津賀社長のアドバイスをもとに、プロジェクトチームは仕様の変更に取り組んだ。

 プロジェクトチーム発足当初から決めていた三角形のデザインはそのままに、カメラや音声合成などの付加価値機能を取り払う一方で、掃除性能を高めることにこだわった。

 掃除性能を追求するという基本方針の変更の結果、すべての構造を一から見直すことにも着手。高さは92mmと従来の試作品からは約8mmも低くし、家具の下などにも自由に入れる高さへと改良した。

 だが、小型化した分の苦労もつきまとった。モーターや回路、バッテリーなどのレイアウトにはさらなる工夫が必要になったからだ。もともと三角形の形状もレイアウトしにくいものだったといえるだろう。

 そこで吉川主幹技師が目をつけたのが、複写機などのOA機器で利用されている小型モーターだった。

 「走行やブラシの駆動モーターには、小型ブラシレスモーターを搭載した。これは、複写機に搭載されているものをベースに改良したモーター。小型で、高性能であるのに加えて、細かく制御しやすく、耐久性が高い、そしてコストが抑えられるというメリットもあった」(吉川主幹技師)という。

 また、バッテリーには、パナソニックが開発した高効率リチウムイオン電池を採用し、1,500回の充電サイクルを実現する長寿命化を図っている。

■ センサーの活用で効率的な掃除を実現

 一方、掃除性能という点では、長年培ってきた掃除機技術を活用し、清潔機能と集塵機能の強化を図った。

 清潔機能としては、すでに他の掃除機にも搭載していた、ゴミの量に応じて自動運転制御する独自の「ハウスダスト発見センサー」を搭載したほか、集塵機能では、フローリングの細塵を除去できる「マイナスイオンプレート」や独自の「V字ブラシ」を採用し、強い吸引性能力を実現。また、見えにくいゴミなどを感知することにより、効率よく、きれいに掃除することができるようになったという。

 また、3つの超音波センサーと2つの赤外線センサーの組み合わせによって、方向や走行距離を認識する仕組みを採用した。赤外線センサーでは距離を測り、超音波センサーは、障害物を感知して、方向を変える役割を果たす。

 この2種類のセンサーとアルゴリズムの改善によって、ゴミのたまりやすい部屋の隅や壁際を重点的に走行する「ラウンド走行」と、部屋の内部を効率よく走行する「ランダム走行」を組み合わせた、独自の走行制御を開発。壁際1.5cmのところにまで近づき、サイドブラシでゴミをかき取る仕組みだ。

 また、ハウスダスト発見センサーでは、高感度の赤外線センサーが、約20μmの微細なハウスダストを検知。ハウスダストが多いときには、LEDが赤く点灯。パワーを高めて、ゆっくり走ったり、往復走行や首振り走行を行い、きれいになったら緑色に点灯するといった制御も行う。底面には、落下防止センサーや持ち上げセンサーを搭載し、スムーズな走行をサポートする

 「センサーのチューニングにはかなり苦労した。また、思ったところを掃除できるようにプログラムも改善。意図通りの動き方を実現するために、何度も、何度も調整を繰り返した」(吉川主幹技師)という。

 ルーロでは、掃除をしたい場所から重点的に掃除を開始するエリアメモリー機能を搭載している。

 「掃除したい場所までなかなか到達しない、あるいは掃除したい場所を掃除するために本体を持ち運んでいかなくてはならない、という不満を解決することができる。キッチンやリビングなど、汚れが多い場所や重点的に掃除したい場所を事前にメモリーしておけば、そこから掃除を始めてくれる」(パナソニック アプライアンス社ランドリー・クリーナー事業部 商品企画部クリーナー商品企画課・川島抽里主務)というように、ロボット掃除機に対する細かな不満を解決することにもこだわった。

 そのほか、ルーロ型のリモコンによる操作のほか、ダスクボックスを簡単に引き上げて、ダストボックスもフィルターも丸ごと水洗いができるお手入れの良さも特徴もひとつだ。

■ 三角デザインが掃除機能を体現

 「商品デザインそのものが掃除性能を体現したものになる」と、川島主務が語るように、隅の狭いところにまで入っていける三角形の形状も、掃除性能を高める効果につながっている。隅までサイドブラシが届き、ゴミをかきだすことができるからだ。

 また、ロボット掃除機は、一番横幅が広いところに吸い込み口を配置するのが一般的。円形の場合は、真ん中になるが、三角形の形状は、前方に配置できるメリットがある。ルーロでは、前方の広い横幅を利用して、幅180mmの吸込口を前方配置した。

 また、角部にサイドブラシを設置することで、吸い込み口とブラシの距離を短くし、かきだしたゴミを短い距離で吸い込むことで、ゴミをもれなく吸い込めるようにしている。

 そして、吸い込み部のブラシは、6本で構成。畳やフローリング、じゅうたんといった日本の多彩な床材に対応できるようにしている。

■ 30年間の技術蓄積を生かしたロボット掃除機

 2015年3月20日にルーロが発売となって以降、出足は好調だ。

 パナソニックでは、当初は月産5,000台を計画していたが、現時点で計画比2.5倍の生産台数へと拡大。この3カ月の間、先行メーカーを退けて、数度に渡って、週間トップシェアを獲得するとともに、この3カ月間は、単一機種ではトップシェアを獲得しているという。

 人気の要因は、ルーロで目指した掃除性能の高さだ。

 実際、ルーロの使用者からは、掃除性能の高さに対する評価が高く、90%近いユーザーが掃除性能に満足しているという。

 「掃除性能が高いため、ルーロの購入者からは、2階用にもう1台購入したいといった声がでている。これは他社のロボット掃除機ではないものといった声が量販店からでていた」(川島主務)という。

 「三角形のデザインは、ロボット掃除機に求められる、隅まできれいに掃除ができるという機能をストレートに訴えられるのが特徴。わかりやすいものが売れるということを実証した製品である」と川島主務。三角形のデザインに果敢に挑戦した結果が、ルーロの評価につながっている。

 だがその一方で、吉川主幹技師は、「ルーロは、これまでの30年のロボット掃除機における技術蓄積がなければ実現しなかったものである」とも語る。「アルゴリズムひとつをとっても、パナソニックの社内に蓄積されたノウハウは大変優れたもの。ここをこう変えたいと思うと、それに対応できるプログラムが用意されている。今回の製品では、まだその半分も使っていない。今後、まだまだ進化させることができるノウハウが蓄積されている」とする。

 「完成度は80点。パナソニックが出した最初の家庭用ロボット掃除機。まだ小学校に入り立てのような製品であり、進化はこれから」と吉川主幹技師は今後の進化にも意欲をみせる。

 パナソニックは、今後も、三角形のデザインにこだわり、ロボット掃除機を進化させていくつもりのようだ。


【家電 Watch,大河原 克行】
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